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Blowin’ in the wind

どんよりした土曜日。

いつものように洗車を終え、ワックスをかける。
もちろん、シュアラスターだ。
コンパウンドなど入っていない。

ボディを一通り終えると、8本スポークのアルミホイールにもワックスをかけ、タイヤにはタイヤ用のワックスをかける。
妻や娘には「父さん、そんなところにまでワックスっているの?」と不思議がられている。
いるんだよ。この車には特にね。

実は、もう一台実用にとステーションワゴンがあるのだが、そちらは事実上ノーメンテ状態となっている。
実際問題、それでも文句ひとつ言わず、いつでも機嫌よく走ってくれるのだ。
最近の日本車は、本当によくできている。

室内の清掃、ダッシュボードにもワックス。
すべて終えると、昼を回っていた。

簡単に昼食をすませ、いつもの岬までキャブのご機嫌を伺いに出ることにした。
妻、娘にも声はかけたが「あの車で?行かなぁい」と、一蹴されてしまった。
まあいい、自分のペースで走れるのだから。

天気がよくない割には、キャブの調子がいい。
こんなことはめったにない。
それだけのことで、うれしくなる。
大の大人が単純なものだ。

マニュアル車でのワインディングは最高に気分がいい。
今となってはパワー不足のエンジン、ヤワな足周りだが、年齢を重ねた自分にはかえって心地よかった。
高回転まで引っ張らず、ピッチングの少ない走りを心がける。
あくまでスムーズに、速く・・・。

車もバイクも、上手い人ほど見た感じとてもスムーズで速いのに、速く走っていなさそうに見える。
クラプトンの「スローハンド」と同じだ。
自分も、自己満足の範疇ではあるが、若い時から心がけてきた。
アグレッシブに。でもスムーズに、速く・・・。

途中、案の定雨がぱらついたが、すぐに止んでくれた。

岬の駐車場は、季節外れとあって売店はすべて閉まっており、トップシーズンの人出がうその様だ。
たった一台、ヤマハの古い単気筒のバイクが停まっていて、そばにいたオーナーらしき若者がこちらを見ていた。

最近は、若者もこんな古いバイクに乗るらしい。

懐かしいな・・・

ふと思い立ち、その頃聞いていたカセットテープをグローブボックスの奥から引っ張り出した。
デッキに入れ、タバコに火を付ける。

ディランの「Blowin’ In The Wind」
今でもとても好きな曲だ。
とういか、そのはずだった。
なぜか最近聞いていなかった。

曲が終わりタバコを消すと、短い休憩は終わりだ。
窓をしめ、イグニッションキーを捻り、今来た道を引き返す。
走りながら、なぜかわくわくしていた。
新しいことを始めたかった。
久しぶりに検査通すか・・
幸い、ワックス、グリス、エンジン掛けを欠かさなかったため、コンディションは抜群だ。

「ただいま」とだけ言ってすぐに、ガレージに引き返す。
一番奥まで行き、カバーをめくる。

そこには、きれいに手入れの行き届いた、深いグリーンのSRがあった。





※この物語はフィクションであり、登場する人物・地名・団体名はすべて架空のものです。

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